ジルコニア(次世代の歯科用セラミックス)
2019/12/16
ジルコニア・イメージ" src="/common/upload_data/abe-shika-clinicjp/image/20191216115637_1.jpg" style="float: left; width: 273px; height: 200px;" />強度、高靭性、美しさ。 最先端の技術が可能にした |
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☆ ジルコニアの優れた特徴
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ジルコニアの優れた特性" src="/common/upload_data/abe-shika-clinicjp/image/20191216115858.png" style="width: 540px; height: 100px;" />
- 金属よりも硬く、天然ダイヤに次ぐモース硬度があります。
- 光の透過性が高いため、透明感のある審美的に優れた歯を作れます。
- 強度を補う金属の裏打ちの必要がないため、透過性を最大限に生かせます。
- 曲げ強度、応圧に優れた、極めて破損を起しにくいセラミックです。
- 生体親和性が高く、体にやさしい歯科材料です。
- 金属アレルギーを起こさない、メタルフリーの治療が可能です。
- 耐熱性、耐久性、耐腐食性が極めて高い材料です。
強度としなやかさと美しさを兼ね備えた歯科セラミックス
ジルコニアセラミックスの特徴です" src="/common/upload_data/abe-shika-clinicjp/image/20191216115858.jpg" style="width: 231px; height: 131px;" />
ジルコニアとは、酸化ジルコニウムを安定化させたセラミックスで、宝飾品として知られるキュービックジルコニアと、結晶構造は異なりますが、ほぼ同じ成分で出来ています。
強度としなやかさ、美しさを兼ね備えた、セラミックスの中のセラミックスとも言える歯科材料です。
ジルコニアが歯科材料として使用されるようになったのは、日本では最近のことですが、ヨーロッパやアメリカでは、その優れた強度と性質から「白いメタル」とも称され、オールセラミックス治療の主流になっています。
ジルコニア" src="/common/upload_data/abe-shika-clinicjp/image/20191216115857.jpg" style="width: 231px; height: 131px;" />
歯科以外の分野では、ジルコニアはスペースシャトルの断熱保護材、高級外車、F1カーのブレーキ部分など、様々な用途に用いられています。また、医療用途としては、人工股関節の球状骨頭部などに、10年以上前から使用されてきました。
これらの用途が示すように、ジルコニアは、過酷な条件下での耐久性、耐食性に非常に優れた材料であり、同時に、高い強度と生体親和性を持ち合わせた、優れた医療用のファイン・セラミックスであるといえます。
これまでも、セラミックスは、美しく丈夫で生態親和性の高い歯科材料として、歯に対する意識の高い方や、審美性が重要視される職業の方を中心に、広く愛用されてきました。
ただ、従来のセラミックスは硬度が高いあまりに、柔軟性に欠け、強すぎる力を加えると、その力を拡散させることができずに、欠けてしまう場合がありました。
しかしジルコニアは、従来のセラミックスの3倍程度、また、金属を超える強度があり、象が踏んでも壊れないといわています。その上、しなやかで曲げ強度に優れています。
ジルコニアは、従来のセラミックスの課題点と金属の弱点を克服した、優れたファイン・セラミックスなのです。
優れた特性の理由 -成分と組成―
ジルコニア・セラミックスが歯科の材料として優れている理由:成分と組成
ジルコニア" src="/common/upload_data/abe-shika-clinicjp/image/20191216115859_1.jpg" style="width: 231px; height: 131px;" />
歯科材料として用いられるジルコニアは、純粋な酸化ジルコニウムに、イットリア(Y2O3)等を加えて、結晶の構造を安定化させたものです。ジルコニアは、融点が2700℃と非常に高いため耐熱性セラミックス材としても広く利用されています。
900~1300Mpaというセラミックスとして最高の強度を持ち、透過性、優れた生体親和性を有しています。 特に強度が優れているため、いままでのオールセラミックスでは適応できなかった症例でも、治療が可能になりました。
ジルコニア(安定化ジルコ二ウム)は特殊な性質を持つファイン・セラミックスで、純粋な酸化ジルコニウムよりも、強度や靭性などの機械的特性に優れていることで知られています。
ジルコニアの優れた特徴の一つに、極めて破損しにくい点があげられますが、これは破損の原因となる亀裂が伝わるのを、結晶構造の変化によって阻止するためです。
ジルコニアが大きな力を受けると、結晶が体積膨張をしながら、構造を変化させます。その際の体積膨張が、大きな力を受けて生じたクラックを押しつぶし、クラックの進展を防止するのが、ジルコニアの大きな特徴です。この特異なメカニズムは「応力誘起相変体強化機構」と呼ばれており、このメカニズムによって、ジルコニアの靭性の高さが支えられています。
※靭性=材質の粘り強さ。外力によって破壊されにくい性質。
金属より強くて軽く、生体親和性が高い「ジルコニア」
ジルコニアは金属より強くて軽いセラミックスです。金属を用いない、メタルフリーの治療が行えます。
ジルコニアと金属の比重の比較" src="/common/upload_data/abe-shika-clinicjp/image/20191216115900.jpg" style="width: 231px; height: 131px;" />
ジルコニアは金属より硬いにもかかわらず、重さは金の三分の一程度と、軽いのも特徴の一つです。そして生体親和性が高く、アレルギーの原因になりません。
今までのセラミックスでは、噛み合わせの力の強すぎる部位では、セラミックスの内側に金属で補強を行わないと、強度の点で問題がある場合がありました。また、同様に長いスパンのブリッジも、セラミックスだけでは難しい場合がありました。
ジルコニアの場合は、中を貴金属で補強したセラミックスのかぶせ物(メタルボンド)と同等の強度があるため、金属を一切使わない治療が可能です。強度や耐久性に優れているため、今までセラミックスだけでは難しかった、奥歯3本のブリッジ等でも、金属を使わずに治療ができます。
またジルコニアは、結晶粒子が極めて小さいことから、表面が非常に平滑なため耐摩耗性にも優れています。年月を経ても、奥歯のブリッジに必要な強度を持ち続けます。
メタルフリーで、光の透過性が高い、美しい歯
強度が必要な箇所を治療する場合には、今まで、セラミックスの内側に金属を使用し、強度を上げることで対応されてきました。
ただ、金属を内側に使用すると強度や適合性の面では良いのですが、金属が光を遮ってしまうため、天然歯のような透明感を出すことは困難でした。
ジルコニアは、金属を使用しなくても、十分に対応できる強さをもっています。そのため、セラミックスだけで、透明感のある美しい歯を作ることができます。
今までジルコニアはあまりに硬いために、歯科材料として、臨床で応用することは困難でした。しかし、ジルコニアを加工できる歯科医療用のCAD/CAMが開発され、日本でも認可されたため、国内においてもジルコニアの治療を行えるようになりました。
ジルコニアの治療について" src="/common/upload_data/abe-shika-clinicjp/image/20191216121309.png" style="width: 540px; height: 100px;" />
ジルコニアは、歯の一部が欠けた場合の治療や、さし歯、ブリッジ等のオールセラミックス治療に適しています。特に、奥歯や噛み合わせの強い部分の治療では、強度と靭性が極めて高いこと、自己修復の機能を持ち合わせている点から、従来のセラミックスでは補いきれなかった症例の治療も可能になりました。
また、ジルコニアはインプラントの上部構造にも最適です。
コンピューター制御による完全オーダーメイド
ジルコニアはセラミックスの中でも、最高の強度と高靭性をもつ優れたファイン・セラミックスとして、過酷な環境下で用いられる部品の製造等に、10年以上前から使用されてきました。しかし、歯科に応用されるようになったのは、最近のとこです。
その理由は、ジルコニアはあまりにも硬すぎて、加工が困難だったためです。ジルコニアの硬さは、通常 歯の治療物の加工に使用する、ダイヤモンドバー(ダイヤモンドが吹き付けてある切削工具)を使っても、十分な形成ができない程でした。
そのため、ジルコニアが従来のセラミックスの課題点を補う優れた材料なことがわかっていても、歯科材料として実用化することが困難でした。
工業用製品の場合は、均一な形状のものを機械によって大量生産することができるため、様々な用途に向けに加工され、使用されてきましたが、歯の治療物は二つとして同じ形ものもがなく、複雑な形状をしているため、大量生産が不可能です。
そのため、歯科材料としての使用、応用が望まれながらも、実現できないまま、年月が流れてきました。
しかし近年、CAD/CAM(※)を利用した、コンピューター制御による歯科セラミックスの加工システムが実用化され、ジルコニアへの応用も可能になりました。
その結果、ジルコニアを使用した、世界に一つだけの個々の歯の形状にあわせた、オーダーメイド型の治療物を製作することが可能になりました。
金属の欠点を補うと同時に、従来のセラミックスのセラミックスよりもはるかに丈夫で耐久性の高いジルコニアは、セラミックス治療の新しいスタンダードとして、欧米やアジアの先進各国で、広まっています。
※CAD/CAM=Computer aided design/ Computer aided manufacturing milling の略。
コンピューター支援によって製品の設計か ら均質な製品を生産・管理するシステムで、CAD 装置とCAM装置で構成されています。まず、CAD装置が歯の補うべき部分の形状、支えにする歯、模型などから情報を収集し、三次元の数値データに変換してコンピューター上で修復物の形状を設計します。そして、その設計に基づき、CAM装置がセラミックスやチタンブロックなどの種々の材料から、治療物を製造します。
歯科治療では、金属を使用することも多いですが、最近では、金属アレルギーや、金属色の見た目を
気にされる方が増え、金属を使用しない歯科治療をご希望の方が増加しています。
セラミックスは、生体親和性の高い、体に優しく美しい歯科材料で、金属のかわりに歯を補う材料として、
広く使用されてきました。しかし従来のセラミックスでは、強度関係上、内部に貴金属の補強が必要な場合がありました。ジルコニアの場合は、金属を超えた十分な強度と靭性があるため、従来では難しかった症例でも、メタルフリーの治療が可能です。
金属を使用しない歯科治療
ジルコニアは透過性が高く自然に光を通しますがメタルは光をさえぎります" src="/common/upload_data/abe-shika-clinicjp/image/20191216121412_1.jpg" style="width: 540px; height: 101px;" />
今までのセラミックスは、硬度は高いものの曲げ強度の値が低いものが多く、奥歯の3本のブリッジや、噛み合わせが強すぎる部位の治療には、不向きなケースがありました。
そのため多くの症例で、メタルのフレーム(枠)やコア(土台)を補強材として利用してきました。
(メタルボンド・クラウン、メタルコア使用の差し歯、メタルフレーム使用のブリッジなど。)
ジルコニアのオールセラミッククラウン" src="/common/upload_data/abe-shika-clinicjp/image/20191216121411.jpg" style="width: 231px; height: 131px;" />
しかし、技術と医療の進歩により、その事情は一変しました。ジルコニアの場合、十分な強度と曲げ強度があるため、金属で内側から強度を補う必要がありません。セラミックスだけを用いた、金属を使わないクラウン、さし歯の治療が可能です。
金属を使わないメタルフリーの治療は、金属アレルギーの心配のない、体に優しい治療です。そして審美的にも、金属が光を遮ることがないため、透明感にあふれた、自然で美しい白い歯を再現することができます。
金属を超えた、ジルコニアのフレーム
ジルコニア製のフレーム" src="/common/upload_data/abe-shika-clinicjp/image/20191216121412.jpg" style="width: 231px; height: 131px;" />
金属のフレームのかわりに、ジルコニアでフレームを製作し、その上にジルコニアの冠を焼き付けます。
ジルコニアの金属を超えた強度と、高い靭性によって、従来は難しかったロングスパンのブリッジでも、金属に頼らないメタルフリーの治療が可能になりました。
強い噛み合わせの力がかかる部位や、今まででは難しかった症例でも、十分に適応が可能です。
ファイバーコアとメタルフリー治療
補強として、金属のコア(土台)が必要だった症例に対しては、グラスファイバー製のコアを用いることで、金属を使用しない治療が可能です。ファイバーコアを使用することで、耐久性、強度ともに十分な、メタルフリーの治療が可能です。
また、金属のコアは硬すぎて、噛み合わせの強さ等によっては、歯の根を痛めてしまう場合がありました。しかしファイバーコアは、歯の象牙質と弾性係数が近似しているため、歯根部への負担を最小限に抑えることができます。また、金属を使用しないので、金属アレルギーの心配がありません。
※コアとは、虫歯になった歯や、歯冠部を失ってしまった歯の根部の補強をする補綴物(ほてつぶつ)のことです。歯髄(神経)を失った歯は栄養が行き届かないため歯質は脆くなってしまいます。そこで歯の根にコアと呼ばれる土台を入れ、補強した上で、かぶせ物をします。
また、虫歯の治療などによって神経がなくなると、歯髄腔(神経が通る穴)は空洞になります。
治療後に、その空洞に再び細菌などの感染が起こらないように、コアを用いて密閉することによって、二次感染を防ぐという効果もあります。